「動機付け」と「単なる寄せ集め」の両方を使うべき、と考える人もいるだろう。
審査基準で、共に「進歩性が否定される方向に働く要素」として挙げられているからね。
しかし、私は、不適切だと思う。
PCTガイドライン13.05には、次のように書いてある。
「進歩性の判断に際し、クレームされた発明は、通常、全体として考察されなければならない。
この原則に対する唯一の例外は、組み合わされる特徴の間に機能的関係がない場合である。
すなわち、当該クレームが単なる特徴の並置であり、真の組み合わせではない場合である。」
つまり、動機付けのルートでは、相違点評価の対象は、「鉛筆+消しゴム」となる。
他方、単なる寄せ集めルートでは、相違点評価の対象は「消しゴム」となる。
つまり、動機付けルートと単なる寄せ集めルートでは、相違点評価の対象が異なるんだ。
ただ、動機付けルートの前提として、相違点認定の際に「単なる寄せ集め」を検討する場合はある。
だから、両方書いたから、直ちに違法、というわけじゃない。
今回は、相違点評価の対象となる「消しゴム」が、そのまま引用発明2に開示されており、他の論理付けを使う必要はない。
だから、論理付けは、「単なる寄せ集め」だけでよいと考えている。