新規性と進歩性の判断は、本当に難しい。
指導審査官は、次のように言ってた。
「進歩性判断では、
当業者が『当たり前だ』と思うものを排除できれば、
何とか審査にはなるんじゃないか。」
一見すると「審査官って、楽だよね」と思えるかもしれない。
だけど、この言葉は、本当に深い。
いい特許は、どうしても「当たり前」に見える。
だから、審査官は、いい発明に対して、ダメ出しをしてしまいがち。
こんな審査は、いらない。
他方、文献調査で難しいのは、当業者にとって「当たり前」のものだ。
「当たり前」のものは、文献に記載されないから、見つからない。
それを見極めるのは、本当に大変だ。
私は、ある案件で、4万件、調査した。
それで、ようやく、先行技術文献が見つかった。
また、どんなに探しても、見つからないこともあった。
そういうときは、「ごめんなさい」という想いしかない。
確かに、「当たり前」のものは、特許査定にせざるを得ない場合がある。
だけど、そういうものこそ、審査段階で拒絶しないと、みんなが困るんだ。
その自覚は、本当に大切だと思う。