まずは、新規性。
特許法29条1項各号を数式であらわすと、次のようになる。
他方、審査基準を数式であらわすと、次のようになる。
審査基準は、「相違点」という概念を導入したところに意味がある。
新規性の判断は、シンプルだ。
・本願発明と引用発明との間に相違点がなければ、新規性なし。
・本願発明と引用発明との間に相違点があれば、新規性あり。
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まずは、新規性。
特許法29条1項各号を数式であらわすと、次のようになる。
他方、審査基準を数式であらわすと、次のようになる。
審査基準は、「相違点」という概念を導入したところに意味がある。
新規性の判断は、シンプルだ。
・本願発明と引用発明との間に相違点がなければ、新規性なし。
・本願発明と引用発明との間に相違点があれば、新規性あり。
今回は、新規性(特許法29条1項各号)と進歩性(同条2項)について。
新規性と進歩性は、審査官補研修が終われば、すぐに判断させられる。
審査官全員が(一応)判断できるという意味では、簡単なのだろう。
正直なところ、自分は、今でも、日々、新たなことに気づいてばかり。
明日は、もっと大きな気づきがあるだろう。その点ではワクワクする。
しかし、新たな気づきがあると、以前の仕事で「こうすればよかった・・・」という後悔が、心に浮かぶ。
私自身、今の時点で、きちんと新規性・進歩性の判断ができている自信は、ない。
他の人たちの仕事をみても、まともに判断できる人が、ほとんどいないという意味では、難しいんだと思う。
今回は、簡単な事例を交えて説明しようと思う。
次は、4問目。
【CS基準】
ソフトウエア関連発明の発明該当性の判断の適用時期は、1997年4月1日以降。
これは、何の日?
<解説>
この1997年4月1日って、本当に重要な日なんです。
一般的には、記録媒体クレームが認められた日として知られています。
本当に重要なのは、プログラムクレームに関する拒絶理由の運用が、
29条1項柱書違反から、36条6項2号違反に変更された日、なんですね。
特許要件違反から、記載要件違反に変わったんです。
このあたりの経緯がわかると、特許法の保護対象が理解できますので、
ソフトウエア関連発明についての特許請求の範囲は、少しは記載できるかなぁ、と。
ソフトウエア関連発明を担当していて、
このあたりの説明があやふやな審査官は・・・ちょっと信用できないかなぁ。
次は、3問目。
【進歩性】
進歩性判断のフローチャートでは、「単なる寄せ集め」が記載されていないね。
どうして?
<解説>
当時の質問を改変して、進歩性判断のフローチャートをベースにしました。
こちらの124ページ(127枚目)などを参照してください。
https://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/kenkyukai/pdf/sinposei_kentoukai/01.pdf
先行技術の「単なる寄せ集め」とは、発明特定事項の各々が公知であり、
互いに機能的又は作用的に関連していない場合です。
「単なる寄せ集め」は、一般に「動機付け」の一つとして捉えがちです。
しかし、PCTガイドライン13.05に記載されているように、
進歩性判断は、
原則として発明全体の容易想到性を検討すべきであるものの、
その唯一の例外が「単なる寄せ集め」で、
「単なる寄せ集め」の場合だけ、差異それ自身の容易想到性で判断してもいいよ、
とされています。
ですので、「論理付け」として、
一般的な「動機付け」と同時に「単なる組合せ」を使うのは不適切です。
この問題で、「動機付けの一つです」と回答してしまうと、
指導審査官からの鋭いツッコミを覚悟する必要があります。
今考えると、1問目~3問目は関連していたと思いますね。
次は、2問目。
【進歩性】
青本の29条2項の説明での「運用上の問題」って、何?
<解説>
やっぱり、こう来たか、という感じでした。
何とか答えましたが、今考えると赤面するような回答しかできませんでした。
今なら、少しは、まともな回答ができそうな気がします。
そういえば、セミナーなどで、
新規性と進歩性の規定に違反するケースについて説明すると、
「それは違うぞ!」
みたいなコメントをいただくことがあります。
確かに審査基準には形式的には反するのですが、
法律の趣旨からすれば、実務上、問題がないケースもあります。
審査基準どおりにすれば「運用上の問題」は生じないのですが、
審査基準に反したからといって、直ちに違法とまではいえません。
指導審査官の指摘は、審査官としては、
・旧法での「運用上の問題」は何なのか、
・それを審査基準がどのように回避しているのか、
についての理解が重要だよ、というものでした。